ジャックの鏡
――今おれは鏡を前にして、この言葉を吹き込んでいる ありふれた言葉から始めようか。 アンタがこの音声を聞いている時、おれはもうこの世にはいない。つまりこれはおれの遺言だが、まぁ安心してくれ。アンタがこの音声を聞いたところで、呪われるなんてことにはならない。少なくともおれにその意思はない。 じゃあ何でこの言葉を遺したのかって話だが、それはただ単に、なぜおれが死を選ぶに至ったか、その顛末を誰かに聞いて欲しかっただけだ。じゃないとおれの人生はあまりにも惨めすぎる。 かつてのおれはそこそこ名の通った芸人のコンビを組んでいた。時代の風雲児だと持て囃され、お笑いの賞レースを総ナメにし、今思い返してみても当時のおれは分かりやすく調子に乗っていた。 その果ての酒席での暴力沙汰。 幸い事務所の尽力もあって大事にはならなかったが、当然のことながらおれは謹慎を言い渡された。だが傲慢だったおれにはそ...


















